音大出身男、きどり(@kidori6803)です。

こういうことを言う意地悪さんは、結構いるわけで…
ネットで『音大 男子』で検索すると
・音楽で食べて行けるのは一握り
・ろくな就職できない
・お金ない
・結婚できない
みたいな、もはや音大生に恨みあるんじゃないか、ぐらいの勢いで、音大男子に対するネガティブ情報が出てくるわけです。
けど、よく考えてみてください。
経済学部を出た人全員がエコノミストになって、法学部出た人全員が弁護士になるのでしょうか?
むしろ、「何がやりたいか分からないから、とりあえず〜」みたいな人が多い一般の大学に比べて、音楽家志望が圧倒的に多い音大の方が、目的意識の高い学生が多く、よっぽど充実した学生生活を送っているはずなのです。
では、なぜ音大男子が失敗呼ばわりされるのか。
それは、高い学費と就職率の低さ。
この一点に集約されるのではないでしょうか。
確かに、音大の学費は高いです

4年間で860万円かかると言うことは、一般的な私立大学の約2倍の学費がかかると言うことです。
そして、就職率は超低いです。

日本の音大の最高学府、東京芸大音楽学部の就職率は、約9%。
一般の大学では、あり得ない数字でしょう。
しかし、僕のように卒業後は海外就職をして、何不自由ない人生を送っている人間がいるのも、また事実なのです。
英語できないけど海外で7年暮らしてきた話【職探し、語学、コミュニケーション】
僕は、音大に行かずに今の毎日ハッピーライフな自分の姿があったとは到底思えないですし、自分を成長させてくれた音大にはとても感謝しています。
やっぱりこう言うハッピー野郎が、ハッピー情報を流していくことで、芸術の!日本社会の!世界の!未来が少しだけでも明るくなると思うのです!
音大の良さを(そして苦しい現実も)お伝えして、音大男子の悪いイメージをすこーし払拭したいと思います。
こんな方におすすめ
- 音大に行きたいけど反対されている男子高校生
- 息子が音大に行きたいと言って困っているご両親
- 音大卒男子!
音大男子の恋愛事情。モテる?

モテます。
僕も、全くモテないキャラではありましたが、大学内の女の子に何度か告白されたこともありますし、学校外でも「音大男子」と言う隠微な響きが、物好き女子には魅力的に感じるようでした。
音大カップルはかなり特徴的です。
・どこでも歌いがち。
・大学が少人数なので、二人の情事が全学生に筒抜けになりがち。
・音楽性や練習に対する考え方の違いが別れの原因になりがち。
・恋人がライバルになりがち。
音大生ならではの理由ばかりですよね。
実際に、音大男子のほとんどは、学内の彼女持ちでした。
「え?あの野獣が?!」と言うような金管楽器のゴリラも、「あの白くてガリガリの?」と言われるようなピアノ科のアンガールズも、イチャイチャしていました。
音大男子は、基本的にモテる、と言うことが実体験から証明されています(笑)
音大卒男子の結婚事情
では、大学時代はモテまくった音大生が、卒業した後の結婚事情はどうでしょうか。
結果から言うと、定職がある人は結婚しています。
音大生って自己主張が強いと思われがちですが、コミュニケーションスキルが高くて、素敵な旦那さんやお父さんになる要素を備えている人はとても多いです。
(コミュニケーションスキルが高い理由は、下の「音大で手に入れたもの」で紹介)
そんな、ちゃんと話聞いてくれて、優しい、理想の男が結婚できない最大の理由が、
定職がない....
そんな音大男子の就職事情はどうなっているのでしょうか?
就活する奴は負け組?

大学3年生になれば、就活を始めるのが普通ですよね。
しかし音大生は就活しません。
それでは再び、日本の音大の最高学府、東京藝術大学の進路状況をみてください。

この年の学部卒業生が235名。
企業に就職したのが、21名。(内、演奏団体5名)
細かく見てみると、半分以上の人は、大学院にも行かず、留学もせず、フリーランスと言う茨の道を進み始めるのです。
私立音大の場合は、音楽の先生や自衛隊・警察・消防の音楽隊に入る人の割合が増えます。
演奏の道を極めると言うことは、人生の中のある一定期間チャレンジし続けることです。
残念ながら、プロの演奏団体に入れる人は、その中でもほんの一握りなので、夢の実現までには定職に就くことも難しく、30歳を過ぎてもフリーランスをしている、と言う友人は数多くいます。
そうした状況の中で、音大の中では
就活をする人=楽器の道を諦める負け組
と言う方程式が少なかあらず出来上がってしまっている状況は否めません。
しかし、2017年に武蔵野音大就職課の大内孝雄氏が「音大卒」の戦い方と言う本を出版したことをきっかけに、メディアでも音大卒業生の社会的な能力が見直され始め、今では東証一部上場の大企業でも、積極的に音大卒業生を採用する動きが出始めています。
就活=負け組、はもう過去の話になっているのです。
音大生の必読書
音大卒の職業別収入
では、みんなが全く稼いでいないのかと言うと、そう言うわけでもありません。
以下に紹介するのは、音大生が就職する業界の就職の例です。
・プロオーケスオーケストラ(初任給約20万円)
・自衛隊・警察・消防音楽隊(初任給20万円)
・中学、高校の音楽の先生(初任給約20万円)
プロのオーケストラ

演奏しながら高い給料をもらう、と言う点では、オーケストラならNHK交響楽団・読売日本交響楽団・東京都交響楽団のが日本のビッグ・スリーです。
新卒で25万ほどの月給が設定されています。
それぞれにNHK・読売新聞・東京都と言う大きなスポンサーがついているこの3団体は、プロ団体の中でも、段違いに年収が高いです。
しかしその分、オーディションの難易度も上がります。
逆に、大きなスポンサーのついていないオーケストラは、生活するのも苦しく、レッスンや外部での演奏など、副収入がなければ生活が苦しいと言われています。
自衛隊・警察・消防音楽隊

管楽器と打楽器(一部声楽も)の専攻なら、自衛隊や警察、消防の音楽隊も視野に入ります。
自衛隊音楽隊も国家公務員ですので、相当給料はいいですし、安定感も半端ないです。
生涯年収は2億8000万円で、超一流企業の生涯年収に並ぶ勢いです。
しかし、その安定感から、演奏技術の向上心に欠ける団員が多い、と言う話も聞いたことがあります。
中学、高校の音楽の先生

公立学校の先生であれば、毎年ボーナスが4.5ヶ月分出ますし、30歳以降の昇給ペースが早いです。
生涯年収は2億5000万〜3億円で、自衛隊同様に超一流企業の生涯年収に並びます。
僕も公務員ではないにしろ、教師をしていましたので、やり甲斐は十分であることは保証済みです。
ここ数年、教師のブラック労働がメデイアでとりだたされるようになってきて、志望者も激減中。
完全なる就職売り手市場なのです。
今後、部活顧問の外部講師委託などで、労働が軽減されていくことは間違いないので、教師を志すことは決して悪い選択ではありません。
音大で手に入れたもの
コミュニケーションスキルが上がる
毎週、尊敬の極みである憧れの師匠からの、楽器の個人レッスンがあって、オーケストラや吹奏楽の合奏の授業、4〜5人でアンサンブルをする授業もあるので、常に人と関わりながら勉強してきた賜物=コミュニケーションスキルです。
「音大生の会話には、リズムがある」とはよく言ったものです。
ストレス耐性が強くなる
日本の最前線のクラシック界で活躍している楽器の先生たちと週に一回、1時間のレッスンを受けていると、

「全然違う」
「あなたがオーケストラにいると迷惑」
「もはやマインドがだめ」
のような、愛の言葉を受け続けることになります。(マゾ)
そして、同級生という名のライバルたちからは

「大丈夫?変な音してるけど、調子悪いの?(ニンマリ)」
「私、あなたにだけは負けない自信があるわ」
などなど、身に沁みるお言葉を浴びせられ・・・(どマゾ)
気づけば、何を言われても動じない、鋼の精神が養われています。
一生物の技術が身につく=食いっぱぐれない
演奏の技術が日本で、そして世界で認められれば、一回の演奏会で数十万円から数百万円の収入を得られるようになります。
しかし、もしそこまでのレベルに到達しなかったとしても、世間には演奏を求めている場所がたくさんあります。
例えばこんな場所で演奏できます
・幼稚園や学校の訪問演奏
・病院
・カフェやバー、レストラン
・結婚式(最近はお葬式でも)
・イベント
高収入を得られなくても、このような場所で、小さな収入を重ねることができるのです。
技術はいつだってお金に換えることができます。
まとめ

結婚に就職。
音大男子には、苦しいこともいっぱい。
だけど、自分自身と向き合いながら、そして、友達と切磋琢磨しながら好きなことを突き詰めて生きることは、本当に幸せなことです。
お金の問題ならまだしも、まだ先にあるかも分からない就職や結婚の心配をして、音大受験を諦めるのは、断固として反対します。
心を奮い立たせ、どこまでも自分を頑張らせてくれる環境が、そこにはあります。
今持っている熱い想いを、音大で爆発させてみてはいかがでしょうか?